後期研修
集中治療
Intensive Care
はじめに
集中治療室(ICU)の目的は、外科系および内科系疾患を問わず、呼吸、循環、代謝、脳神経などの重篤な急性臓器不全に対して、強力かつ集中的な治療とケアを行うことで臓器機能を回復させ重症患者を救うことです。そのため、多くの臨床経験と外科的、内科的な知識と技術の習得が求められます。
1 プログラムの概要
当院の集中治療専門医養成プログラムは集中治療医学会が指定する専門医の取得を目指し、基本領域の専門研修が修了したのちに、ICUにて12ヶ月専従研修(うち連続12週間以上)、救急科研修1ヶ月、麻酔科研修1ヶ月を行い、専門医の取得を目指します。
既に集中治療学会が指定する専門医を取得の場合は、ICU専従研修のみ修練することができます。
2 研修目標
ICU専従研修期間中は以下に示す研修目標の達成を目指します。
■一般目標
研修期間全般を通して、集中治療の実践に必要となる医学的知識・技量・態度の修練を通して、同領域の発展に寄与する力を修得する
■行動目標
a)日本集中治療医学会専門医等の取得に必要となる研修全般を履修する
b)ガイドラインにより標準化された内容を履修し指導できる
c)関連する学会等で自らの考えを十分な表現力で提示できる
■経験目標
a)集中治療医学会専門医取得に必要となる項目を経験する
b)ICUに従事し担当症例を提示できる
c)院内抄読会・検討会で適切に発表ができる
d)ACLS(Advanced Cardioーvascular Life Support)に準拠した蘇生治療を指導できる
e)JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)に準拠した外傷初療を修得する
f)EBM(Evidence Based Medicine)に基づいて臨床の問題を検討し報告発表を行う
g)学会発表・論文作成など救急医学・集中治療医学に関連する学術活動を行う
■習得手技目標
a)気道確保
b)気管挿管
c)気管切開術
d)注射法(中心静脈を含む)
e)穿刺法(動脈・胸腔・腹腔・心嚢・骨髄穿刺等)
f)SGカテーテル、ドレーン・チューブ類の管理
g)簡単な切開・排膿、皮膚縫合法
h)外傷・熱傷の処置
■習得治療法
a)薬物療法
b)輸液・輸血療法
c)経腸・経静脈栄養法
d)人工呼吸管理
e)急性血液浄化法
f)PCPS/ECMO
g)低体温療法
3 後期研修医の役割
ICUにて専従し指導医の下、患者の担当科医師と共同で診療に当たります。診療に当たっては、医師のみでなく看護師、MEを含む医療スタッフと協力して行います。
毎朝8時半からICUスタッフ(DR,NS,ME,その他職種)によるカンファランスを行い、患者の状態および治療方針の確認を行って、現在の病態認識の共有化を図ります。
月に2回程度ICUでの勉強会の他、初期研修医への教育指導も担当します。
4 研修期間
■日本集中治療医学会の指定する専門医取得後、12ヶ月以上
5 関連領域研修
■麻酔科
■救急科
6 指導医
佐久田 豊 日本集中治療医学会集中治療専門医
7 評価方法
日本集中治療医学科会集中治療専門医認定要件に則り評価する。
■診療実績表A・B
■学術論文2編
■学会発表2題
■学会参加2回以上
上記のほか、指定専門医取得をもって修了とする。
8 取得できる資格(専門医)
■日本集中治療学会 集中治療専門医
これらの取得に必要な疾患、手技別の蓄積数をモニターしながら不足がないようにする。
9 学会発表指導
集中治療関連全国学会(日本集中治療医学会学術集会、日本救急医学会学術集会など)で2回以上の発表、地方会で年2回以上の発表を行う。
10 論文指導
■最低、日本語の論文を1編以上、英語論文(症例報告、など)を1編以上作成する。
■日本語論文作成、英語論文作成を指導する。
■希望に応じて、文献検索方法指導を交え英文+日本文論文作成をサポートする。
11 その他
■JPTEC、JATEC、ICLS、PSLS/ISLS、MCLSなどのコースを受講する。
■DMAT研修を受講する。
12 施設認定
■日本集中治療医学会集中治療専門医制度修練施設
集中治療 後期研修プログラム